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袖の話
規格化されている袖の寸法
カメラを例に出してみます。最近のカメラは、大変性能が良く誰でも確実にきれいにに写せます。特にレンズの「レベル」は高く、完璧すぎるくらいきれいに撮れますが、きれいすぎて面白くないでしょう。
これはすべてが同じようになってしまっているからです。着物も同様に、袖ひとつとってみても、仕立寸法は、すっかり規格化してしまっています。
袖丈といえば、男物も女物も「一尺三寸、丸み五分」みんながみんなこれでいいのかなあ、と思いながらも仕様書通りの寸法で仕立てていますが、やはりみんな同一寸法ではおかしいのではないのでしょうか。
身長が165センチの人と、155センチの人では、当然、袖の長さが違ってきます。
また、普段着では一尺三寸でもいいでしょうけれど、儀式やパーティーなどフォーマルな場では、もう少し袖丈は長いほうが、落ちついて見えます。このように、本来袖丈は、着る方の身長や着用目的によって変えてきたものです。
さらに、袖の丸みも、五分と決まっているわけではありません。五分の丸みは、本来男物の丸みで、女性の場合は主婦になってからのものです。若い人は袖丈を多少長くし、二寸ほどの丸みをつけてもよいし、ゆかたなどには二寸五分の丸みも可愛らしいでしょう。
またお祖母さんが、お孫さんの結婚式に出席する時の色留袖に一寸五分の丸みをつけるのは、私はもう一線を退いていますという気持ちが見えて奥ゆかしいと思います。これが全部五分の丸みというのは、実に味わいがないのではないでしょうか。
袖の話
袖の話 2
袖口吹きの太さも、太い、細いの差があってもよいでしょう。例えば、大島紬のように薄手の紬では袖口吹きは細くし、訪問着などちりめんのざっくりとした着物は、袖口吹きも多少太く仕立たほうが味わいがあります。 振袖の場合は、袖口吹きを太めにして、袖巾を袖下で二分、三分広くしていくと、ボリューム感が出て豪華に見えますし、さらにその丸みに吹き綿を入れると、一層ボリューム感が出て、ふっくらとした柔らかさが出ます。 また、かつては、袖に紅の振りきれを付けていました。これは以前、女物の胴裏に紅絹を使っていた名残で、袖の振り部分に布を付け、チラッと見える色の組み合わせを楽しんだものです。藍の着物にくすんだ錆朱の振りぎれ。これなんかは、品のいいおしゃれの演出です。でも、最近ではそういうことを望むお客様もめっきり少なくなりました。