和服のお仕立ての特徴は裁断にあります。基本的には直線裁ちの直線縫い。そして縫込み(縫い代の中に入る部分)は切り落としません。ですからほとんどの着物はほどいて並べると元の反物の形になります。ですから曲線でできている人の体型には100パーセント合う着物はお仕立てできません。だからこそ匠の経験が必要になってきます。
飛び柄の小紋なども匠の経験が必要です。訪問着や付下のように、すべての部分がうまく配置できる場合はむしろ楽で、限られた反物の長さのなかで上手くいかない場合にいかに、またどの部分を妥協することがお召しになったときに一番美しくみえるのか、それは同じ反物でも寸法によっても異なります。
また袷の着物の場合は裾回しや、胴裏に何を使うかも重要な要素です。多くの方は裏地の色にはこだわりますが、実際には表地に最適の素材が何かが重要です。裾さばきや、時間が経過したときに表地と裏地のつりあいに大きな影響を及ぼします。
お仕立ての要素はこれにとどまらず、実際にお召しになる方の体型や、着装の仕方を全体的に判断してお仕立てさせていただいております。